iPhoneとandroidどっちが良いか論争は永遠に続いていますが、違いを一言で表すことができますか?
それは"オープン or クローズド"かです。
実はどっちが良いかの答えは一生出ません。
「ダークウェブのようなリスクも自由も100%の世界を覗きたいか」。と聞かれてYESと答える人、NOと答える人。どちらも存在するからです。
そしてオープンなandroidの"自由=美徳"とならないのが、話をややこしくしています。
今回は、①iPhoneとandroidの違い。②クックはiPhoneをどう変えたか③なぜ僕(youtuber)がiPhoneを使わないか。この三つを深く考察します。
iPhoneの特徴とは

iPhoneの特徴とは何か?結論、現CEOティムクックの人間性を表したものです。
iphoneは3つのことを前提としています。
- プライバシー重視
- リスクの徹底排除
- 社会的倫理の模範
わかりやすく言うと、正しくあろうとする良い子ちゃん的な機種です。
カスタマイズ性は皆無。Appleが認めたアプリしか入れられないし、決まったUIしか使えません。俺たちが用意したものを必ず使えと言われます。

一方、androidはドックやアイコン数などランチャーそのものを変えることだってできます。OSの基盤を無視してもOK。
公式を経由せずともアプリを入れる(=サイドローディング)行為だって普通のことです。
macbookですらアプリ製作者のサイトに行ってdmgファイルを落とすとappstore外のアプリを入れられます。
iPhoneだけがまるで大人が鳥籠を作ってユーザーを守っているかのよう。
非常に不思議な話です。
1984年に初代macが出ました。その時のCMがジョージ・オーウェル著「1984年」(監視社会を描いたディストピア小説)に出てくる独裁者ビッグブラザーをオリンピック選手みたいな女性が出てきてぶっ潰す。というものでした。

(ジョブズの頭の中では)悪の巨大組織IBMの煩雑な操作に苦しむユーザーたちを救うという意味が込められています。いわば権威への反抗。
そんな彼らが今やappstoreでアプリを監視。自分たちが認めた物しか通さないのですから、「何そのブーメラン」って感じです。
vs オープンとの闘い

そして舞台はオープンプラットフォームとの戦いに移っていきます。
今だとgoogle側のandroidはオープンプラットフォーム。appleのiPhoneはクローズドです。実はオープンとの戦いは2度目。しかも2度ともappleがシェア的には敗北。
1度目は宿敵Microsoft。

かつてはコマンドでPCを操作する時代(CUI)。例えばダウンロードフォルダに行きたいなら、
"cd Downlaods"
と、文字を打つ必要がありました。昔は非常に素人受けが悪い操作方法だったんですね。

これを変えたのが初代mac。マウスでカチカチやれば素人のあなたも明日からパソコンが使えてしまう。という超革新的なPCを生み出したわけです。(これをGUIと言います)
アイディア自体はプリンターの会社ゼロックスが生み出したものです。ただし彼らはこの発明の偉大さに気づいておらず、デモを見たジョブズがヒントを得ます。

appleはGUIを取り入れたMacを発表。新時代の幕開けかと思いきや、なんとゲイツも同じGUIのwindowsを出してきます。
当時のMSはAppleからすればどこぞの小国。オフィスソフトを作る小さなソフトウェア会社。
最悪なことに、mac用のexcel開発を依頼していたため、技術部分を抜き取られていたんですね。(当時やたらMSからGUIに関する技術的な質問が多かった…という話もあるほどです)
結局GUIはアイディアであり知的財産とは違うということ。そしてゲイツ的に言えば、「君も僕もゼロックス忍び込んだだけのこと」。ってことで法的に問題はなしとされます。
ジョブズは怒り心頭。ですが、社内がごたついてる間にappleを追い出され、あの悪魔の起動音を持つwindows95がやってきます。

こうしてappleはシェアを焼き尽くされ、会社も瀕死状態にまで追い込まれてしまいます。
その後、満を持して再登板したジョブズ。iPodの成功とともに、iPhoneを携えて世界的に有名なプレゼンを行います。さて今度こそapple一強かと思いきや。
なんと、歴史は繰り返すことに。

今度はandroidに細かい設計をパクられてしまいます。スワイプ、マルチタッチ機能、並ぶアイコンなど。
この時のジョブズはMSの一件よりも激しく憤ります。恐らく知られている限りで一番怒ってます。
ゼロックスのような明確なアイディア元があったわけじゃないし、何よりジョブズを尊敬すると言う後輩のgoogle創始者ラリーペイジに後ろから刺されたからです。
ジョブズは当時こう語っています。
グーグルよ、よくもiPhoneを食い物にしてくれたな。なんでもかんでも我々から盗みやがったな」と言ってるんだ。すさまじくでかい盗みだ。この悪を糾すためなら、アップルが銀行に持つ400億ドルを残らずつぎ込むつもりだし、必要なら僕が死ぬときの最後の一息だってそのために使ってやる。アンドロイドは抹殺する。盗みでできた製品だからだ。水爆を使ってでもやる。連中はいまごろ震え上がっているはずだ。罪を犯したと知っているからね。検索以外のグーグル製品──アンドロイドやグーグルドキュメント──はみんなゴミだ。
ウォルター・アイザックソン. スティーブ・ジョブズ II . 講談社. Kindle 版.
結局スマホでも市場を取られてしまいます。いつの時代もクローズドはオープン市場に勝てていません。
iPhoneの特徴とは何か。クローズドであること。それはシェア的に正しい答えなのか。答えはNo。人はオープンプラットフォームを支持するということ。
どっちが優れているかの答えは一生出ませんが、どちらが支持されるか、の問いは答えが出ています。歴史はappleのハード・ソフト統合の考えを選びません。
この閉鎖性は仕切りたがり顧客体験を操作したがりのジョブズ時代からありました。

ですが、CEOがクックに交代してからはさらに加速します。アプリを監視してユーザーを危険から守り、かつiPhoneなら絶対俺たちappstoreを通せよ、と運営者から15~30%の手数料を得ています。
別の目的からappleを閉じた市場に向かわせているんです。
芸術肌で他人に自分の作った物をいじられたくないジョブズに対し、ビジネスと品行方正さを目指すクック。
荒々しく他人に厳しいクリエイティブなジョブズに対し、穏やかで知的マネージメントに長けるクック。
おかしなことに全く正反対の性格・出発点なのに二人の終着点は同じ閉鎖性だったんですね。(こう考えるとジョブズがCEOにクックを選んだのも分かる気がします)

さて、みなさんクックってどんな人か知ってますか?
ジョブズみたいに革命は起こせないけど、永久に変わり映えしないiPhoneをずっとトップスマホにし続けた功労者…みたいな。
なんかすごいんだろうけど、ジョブズの後の地味なおじさんって印象じゃないでしょうか。
そんなことないです。いかにもappleのトップらしい人柄してます。
例えば、南部の田舎出身である。SNS否定派である。環境問題に熱心。さらにはゲイである、などなど。知ってましたか?
もし一つでも知らなかったら僕の話を聞くと面白いと思いますよ。
ジョブズiPhoneとクックiPhone

クックはアメリカ南部アラバマの田舎町で育ちました。
アラバマといえば映画「アラバマ物語」。人種差別が根強く残るアメリカ南部を舞台にした法廷物です。
差別の色濃く残る土地柄で、当時クックは70年代にも関わらずKが3つつくあの教団が黒人の家に火をつけている光景を見て衝撃を受けたそうです。(地元の人間は当時こんな出来事なかったと否定してますが)
幼い頃から差別を直近で見てきた彼が尊敬するのはキング牧師とケネディ大統領。なんかこの時点でボブディランとビートルズが好きって言うジョブズとは反対で良い子ちゃんっぽさが出てますよね。

ゲイだったクックは、学生時代にカミングアウトすることもしませんでした。当時の時代もさることながら、アラバマは保守的な南部。今ですら性差別の禁止を定義する法律が制定されていません。とてもカミングアウトに適した環境ではなかったそうです。
クックの恋愛事情は全くもって謎。誰も知りません。相手がいるのか本人も語らないし、徹底してプライバシーを守っています。
わかってるのは超大金持ちなのに高級車に乗らず自転車が好きってこと。(フィットネスオタクらしく)

イーロンはスーパーカー。ゲイツはポルシェ。ジョブズはナンバープレートつけないわけわからん車に乗って障害者スペース止め、クックは自転車(まあそれなりの車持ってるだろうけど)。車事情聞くとみんな自身のキャラを分かってるなあって感じ。
appleって何かとプライバシーやセキュリティファーストです。アクティビティ追跡のYES/NOとか、safariのサイトによるユーザー追跡をブロックとか、プライバシー関連が細かいですよね?

彼の性に対する閉鎖性や、秘密主義が直結しているとまでは言わないけど、少なからずiPhoneにクックらしさは体現されています。
さらにジョブズと最も違う点は、社会的倫理観。これは現在のiPhoneらしさとは、を理解するうえで最も重要。
ジョブズはテクノロジーを使って何ができるかという創造力に焦点を。クックは社会的な責任や倫理に焦点を当てているんです。
apple製品を使っていて「環境に配慮しています」みたいな文句あります。こんなの意味ねえだろ、と思うでしょうが、まさにクックの品行方正な人間性を表しています。
慈善事業に1ミリも興味がなかったジョブズに対し、クックはサステナビリティとか環境問題、慈善活動やマイノリティ推進運動に熱心。
彼が流れを作ったのか、時代が追いついたのかはともかく、この姿勢は今時のトレンドであり、ロールモデル。
iPhoneじゃないといじめられる…なんて話あありますけどあながちネタじゃなく。
ジョブズは人の行動を変えるものやイノベーションに重きを置いていたわけですが、クックはiPhoneを清く正しくトレンドの人は持っている、という社会の模範に添えようとしてます。
それが真面目なクックの人となりであるし、今iPhoneが向かっている方向性なんです。
なぜ僕(youtuber)はiPhoneを使わないか

僕はGalaxy無印。なぜか。
iPhoneはカスタマイズ性が乏しいからです。
ガジェット系youtuberやるくらいだから、自分がお気に入りの設定、配置、UIを使いたいもの。
このカスタマイズ性の追求とiPhoneの閉鎖性は非常に相性が悪いです。
登録者数百万人を超える国内外のガジェットyoutuberでもあまりiPhoneメインの人って聞きません。大体Galaxy使ってます。(apple専門の人を除く)
やりたいことやろうとすると、多少セキュリティやらバグやらに問題あるアプリを使うこともあるし、どこの誰が作ったか知らないアプリを入れることもあります。

ただし、これは僕側の意見。最初にも言った通りiPhoneとandroidどっちが良いかには答えがありません。
95%くらいの人はスマホのカスタマイズ性なんてどうでもいいです。たまたまガジェットyoutuberやってたり、そういう動画見てる人が気にするだけであって、一般人の意見が抜け落ちてます。
もし僕がおじいちゃんやおばあちゃん、自分の子供(いたとして)に渡すとしたらiPhoneとiPadを渡します。だってその方がリスクが低いんだもん。
Appleは外部決済もそうですし、外部リンクも嫌います。とにかく監視外は儲けにならない上、ユーザーのリスクも高まる。徹底して排除するんです。(最近フォトナが裁判になってApple負けたので今後緩和する可能性ありますけど)

やれること自体の大きな差はないです。違うのはその過程。操作性。
なら、リスクの低い方を使わせるのが当然です。だから教育の現場ではAppleが重宝されているし、なんなら自らの閉鎖性が生かせる教育業界にジョブズたちがアプローチしたのは合理的。
結局僕にiPhoneの良さは一生分からないし、メインにする予定もありません。閉鎖的イコールiPhoneが劣っていると言うわけじゃないから優劣の話は一生決着がつきません。
時代に逆行するハード

僕がiPhone使わない理由はまだあります。
それは"無駄を削ぎ落して洗礼されたデザインを"というAppleらしさが今のモデルにないこと。
21世紀最強の発明と言えばiPhone(スマートフォン)が挙げられますが、実はそうじゃありません。

最強は音楽プレーヤーのiPodです。これがどれだけAppleを盛り立て、世界を変えたか。(ガジェットが音楽業界を動かした革命的な例とか違法ダウンロードを世にはびこらせた諸悪の根源とか色々ありますけど)
"あなたのポケットに1000曲"がキャッチフレーズの同商品ですが、こいつが出てきた時点でiPhoneは規定路線みたいなものでした。
理由はガラゲーにあります。すでにデジタルカメラ界隈を食い荒らしたケータイカメラ。次は音楽を入れる…という形になるのも時間の問題でした。
もし搭載されてしまえばやられるのはiPod。なら逆にこっちが電話になればいい。という逆転の発想から生まれたのが"電話できるiPod"。すなわちiPhoneだったんですね。

なぜ僕がこんな話をしてるかというと、基本的なデザイン・設計思想はiPodがベースだからです。
その理念とは何か。シンプルでミニマル。
iPodが作られた最大の理由は他の音楽プレーヤーがごちゃごちゃボタンがいっぱい。当時Rioという音楽プレーヤーを代表して多かったのが全然曲が入らず操作が煩雑だったこと。

そこで、操作はクルクルやるボタンが一つ。なんなら電源ボタンもいらない。(スリープ解除の概念はあるけど)
あえてiPod側でできることを制限、ややこしいことはiTunesにぶん投げるという方法を取ります。
さらに後になって、曲を選ぶ行為すらいらない。ランダムで再生すればよいとiPod shuffleが生まれました。

これこそappleの美徳。意味のない物は取り除く。そして僕らユーザーに気づかせてくれるんです。「そうか、これはいらないものだったんだ」と。
ですが、今のiPhoneは全く逆の思想です。ボタンは増える一方。アクションボタン、カメラコントロール、ダイナミックアイランド。使わない機能ばっかり。

必要な物だけを積み、あとは軽く、薄く。という機能美に優れるGalaxyの方が最近はappleっぽい設計です。
ジョブズがイノベーションを起こす時はいつも、複雑な物をシンプルにする。という理念に基づいていました。macはIBMのPC。iPodは「Rio」など煩雑なオーディオプレーヤー。いつも何かを分かりやすくすることで新しい物が生まれていたはずです。
こんなapple event対策みたいなガラクタばっかり積んだiPhoneを今のジョブズはどう思うでしょうか。
新しい機能を搭載するのもそうですが、無駄を一つなくすことだって十分イノベーションだと言えます。
いまだに物理ボタンを増やそうとする姿勢は時代に逆行してるとしか思えません。
じゃあ、お前の言うベストなスマホってなんだって話されるかもですが…究極のところすべてを削ぎ切ったボタンレスのスマホかもしれません。
物理ボタンを全て排除しきれば、ハードとして完成してるとも考えられますから。(だって音量・電源ボタンってあんま使わないでしょ)
iPhoneの操作性で嫌いなところ
iPhoneで嫌なところを代表してあげろと言うと、一つは矢印ボタンがないこと。

生前ジョブズが消したいキーの話をしてたそうですが、(PCで)Fnキーと矢印キーを挙げていました。この時はGUI操作を体感してもらうため矢印を消したいって話だったらしいですが…iPhoneでも直感性を守るためか矢印はありません。
超不便。長押しして動かす、虫眼鏡で動かす。僕は嫌です。なぜなら手がデカいから精密操作が苦手。
長押しは緻密に動かさないと通り過ぎるし虫眼鏡は手が邪魔になって見えない。なんでたった一字消すだけでこんな苦労すんだよと。
最近は外部キーボードアプリも矢印キーが制限されてますしね。

もう一つがカメラの出っ張りです。机に置くとガタガタするのもそうですけど、持っててしっくりこないんです。
当然カメラが重いので持ってるときに右上に重心が寄ります。これかなり気持ち悪いです。ある程度均等じゃないのは仕方ないですけど、ここまで見事に偏るのは気になって仕方ないです。
最近だと15Proのとき半年くらいiPhoneメインで使ってたんですが、結局この二つは慣れませんでしたね。
周回遅れのAI

Appleは今やクールな企業として見られていません。
理由はAI出遅れにあります。Open AIのMSやgeminiのgoogleは人々の生活に根付いていますが、Apple Inteligenceは全く相手にされていません。
AppleはAI産業に不向きな社風なので、この手の人材が引き抜かれているニュースも目立ちます。
みなさんはApple Inteligenceが調べ物に向いていないことを知っていますか?
例えば、iPadなんかで起動して音声検索をかけると、なぜかchatgptに繋がります。(一応裏技があって、語尾にchatgptって言うと直接つながります)

この機能、なんとデバイス内の予定やらメールやらをタスク処理するAIであって、外部とのやり取りに向いてません。
理由は最初に言ったプライバシーに配慮するappleだから。外部の検索サイトや情報にアクセスして情報を持ってくる、という方針じゃないんです。
だから「今日の予定を入れといて」はできても、「猫 くしゃみ 対処法」なんて質問には答えてくれません。(今のところ)
プライバシーの尊重とAIは相性が良くありません。
結局こう思うんです。こんなん使わねえだろと。
少し前、iPhone16ではまだ実装もされてないApple Inteligenceの宣伝を始めていました。
実はかなり追い込まれた状況で、AIは周回遅れ。そんなappleには二つの選択肢がありました。一つはAIを無視して他の機能を紹介する。もう一つがAIは頑張ってると誇張して他企業に追従するか。

appleは後者を選びました。投資家からせっつかれており、AIの遅れは株価を下落させ、時価総額を吹き飛ばしていたからです。
今後ハード面で大きな進化が望めず、AIは他の機種を使えば良いだけ。てことは僕は今後もiPhoneをメインにすることはなさそうです。
じゃあiPhoneは衰退するのか。ぶっちゃけそこまでは思いません。
スマホは既に成熟期。これ以上進化はしない。ってことは最後に残るのは「今まで何を使ってきたか」という思い出補正。そういう意味ではiPhoneほど生き残れるスマホもないでしょう。
ただし、Appleの次世代に向けた技術的な遅れは明白。もしスマホから次の段階に移ったとき、生き残れるかは別の話。現に今AI産業から取り残されてますからね。
理屈は好きには勝てない

結局iPhoneとandroidどっちがおすすめなのか?
ごちゃごちゃ言いましたが、結局みなさんは好きなの使えば良いです。
スマホで最も重要なのはフィーリングです。
一方僕の意見を言うと、今のiPhoneはハード面が好きじゃありません。無駄が多いし、バランスも悪いです。
ぶっちゃけソフトウェアは何でもいいんです。ハード面が大事。
だから今もGalaxy S25無印を使っています。無駄のない洗礼されたデザイン、軽さ、それでいて現行最高クラスのチップ。Samsungのスマホには芸術性を感じます。
てことで、iPhone&Androidの違い、そしてなぜ僕がiPhoneを使わないかという話でした。