楽天モバイルがとうとう黒字化の光明が見えてきました。潰れるだの倒産だのいわれた彼らの回線数はとうとう850万回線。絶対失敗すると言われたモバイル事業が、なぜみんな楽天モバイルを使うようになったか。
楽天は…
- なぜモバイルに参入したか
- なぜ回線数を増やせたか
- なぜ安いか
この3つを理解し、企業を深堀すると見えてきます。
なぜモバイル事業に参入したか

一言で言えば、この企業。イカれてるとしか思えません。正気じゃないです。
まずなぜ参入したか。それを知るにはまず楽天とライバルであるアマゾンの違いを知ると意味が分かります。

サイトを見ると。アマゾン。非常に分かりやすい。
最初に商品の最安値が出てきて、届日。在庫など。超明快。

一方楽天。超分かりづらい。値段見るだけでもずーっと下。なんでこんなに分かりづらいかと言うと、商品ごとにまとめてるアマゾンに対し、楽天は店舗ごと。最安値表示もないし、最初に店舗のレイアウトが来る。
元々アマゾンは本屋であり、小売り業。彼らは商品を主役に。
楽天は店舗ごと。当時は業者に頼んで毎回サイトをアプデすると高くなるから、店舗側が自分でサイトを構築し、安く済ませようと言う流れ。むしろ当時は加盟店の支払いは月5万円らしいです。楽天市場の初月の流通総額は32万円。うち18万円は三木谷社長自らの自爆営業だとか。(コンビニの店長かよ)
その流れを汲んでるから今も店舗ごとの表示だし、最安値を提供しなくても戦える場を与えているということ。消費者よりも店舗を見ていると言っても良いです。
じゃあなぜそんなに店舗を大事にするの?
それは三木谷社長が終始言っている言葉。日本を元気にしたい。地域や中小企業をサポートしたい。ということに起因するんですね。
注目したのがモバイル事業。携帯料金が高いというのはその国で生活する人すべてに関わる事。これじゃ日本は元気にならない。「日本の携帯料金は高い」ということに目を付けたんです。

どこかで聞いたセリフですよね?そう、米倉涼子さんのキャッチフレーズです。あれって三木谷さんの言葉であり、楽天モバイルの生まれた理由。
普通の人なら「え、ドコモ、ソフトバンク、auいるじゃん」って思うでしょ?思わないのが三木谷社長なんでしょうね。

面白い話があって、当時の社長・山田善久さん(ドーナッツ専門店行って戻ってきた)が三木谷さんに「総務省から周波数の割り当ててもらう」にはどうするか、情報を探ってほしいと言われました。電波の世界は特殊で、本当に分からなかった山田さんは、なんと総務省に直接聞きに行ったらしい。
総務省もビックリでしょう。そんなこと聞いてくる人いなかったわけですし。携帯会社を増やすなんて大事で、当初は総務省もあまりプッシュする雰囲気ではなかったそう。「周波数割り当て手も大変だから、MVNOで頑張ってね」みたいな。
結局2017年夏に4G最後の周波数が割り当てられるって言われて参入。
本当にモバイル事業に入っっちゃったわけです。どう考えてもクレイジーですよこの企業。そんなん応援したくなっちゃうじゃないですか。
大逆転した理由。インフルエンサーを味方につけた

楽天が逆転ホームランを打った要員の一つには、多くのインフルエンサーを味方につけたことにあります。
広告と言うのは一般的に消費者に売り込むもの。ですが消費者にお得なだけじゃだめなんですよ。そこに手数料を求めて紹介者が介入します。彼らにも有利な条件じゃないと存在すら知られない可能性ありますから。
ほとんどの場合は紹介料が高額なものほどインフルエンサーが寄ってきます。僕もyoutuberですから分かるんですが、ここで考えるのはなるべく高額な商品を紹介したい。でも、高額なものほど自分にリスクがかかってくる。そこを天秤にかけるんです。
例えばちょっと前だとプログラミングスクールなんて流行りました。言うまでもないですが、紹介者は相応の手数料が入ります。ですが、人の人生を変えかねない商品であり、スクールの内情が分かってしまえば紹介した自分にも火の粉がかかります。超リスキーな題材。何より品質が悪い物を紹介したときの信用はがた落ち。いくら手数料が高いからと言っていらないものを宣伝できないんですよね。
そこで楽天モバイル。インフルエンサーには大盤振る舞い。なだけじゃありません。なんと、消費者には大盤振る舞い。どう考えても消費者にも有利すぎる条件を出してきたんですね。
当然我々紹介者だってモノは良いので心おきなくプッシュできます。誰が大変かと言うと赤を被るのは楽天。しかし彼らには自信があったんでしょう。

「一度でいいから使って欲しい。使えば楽天モバイルの良さが分かるから」
実際、解約率もかなり低くなった楽天。ほとんど禁じ手ともいえる手で回線を大幅に獲得したのでした。
楽天モバイルの歴史

年 | 出来事 |
---|---|
1997 | (旧)株式会社エム・ディー・エム創業 |
2014 | MVNO事業開始 |
2018 | MNO免許取得 |
2020 | MNO本格開始(Rakuten UN-LIMIT 1年無料) |
2021 | 0円プランで話題・ユーザー拡大 |
2022 | 0円プラン終了・黒字化重視へ |
楽天と言えば0円sim。その前は1年無料とかもやってました。当時はタダだからスマホに突っ込んどこうみたいな人が多かったですね。
おかげで、楽天をとりあえず使おうという人は増えた。
0円辞めてから一定のユーザーは離れました。僕もその一人です。
年度 | 詳細 |
---|---|
2023年 | 現在のプラン |
赤字約4,000億円 → 約2,400億円 | |
2024年 | 人口カバー率99.9% |
EBITDA黒字(12月単月) |
転機になったのは現在のプランが始まってから。
本格的に料金を徴収するようになったので、投資分の本格的な回収はここから始まったんですね。
長いこと赤字だったんですが、とうとうEBITDAベースで黒字。それも12月のみの単年ですし真の黒字化とは言えませんが、一つの光明が見えました。EBITDAって何って人へ。
用語 | ||
---|---|---|
EBITDA | 利払い・税金・減価償却前の利益 | 本業キャッシュフローがプラス |
営業利益 | 本業の利益。人件費・販管費・減価償却などを引いた後の利益 | 黒字なら「本業として安定」と見られる |
純利益 | 最終利益。営業利益から借金の利息、税金などすべてを引いたもの | 本格的な黒字化 配当や投資の余力も出る |
要するに本格的な黒字にはまだ時間がかかるということ。
さらに黒字と言っても楽天はかなり独自の計算式を用いています。

モバイルエコシステムと呼ばれる数値で、楽天モバイルのユーザーなら楽天市場とかトラベルとかでも金使ってるよね。その分足しとくね。というもの。

ARPU(1ユーザーあたりの平均収益)の図。ここではピンクの部分。他部門への貢献額とか正直どうやって数値を弾きだしてるか謎ですし、楽天モバイルと関係ないんじゃね...と懐疑的。その中で今回は12月単体を抜き出し黒字。という話。楽天モバイル自体はまだ赤字なんです。
ただ、一般消費者の僕たちはあんまり気にしなくて良い。あくまで投資家やメディアを中心としたアピール。それに三木谷さんって元銀行員だからか、数字の達成は何が何でもやる。という印象。会社も同じ。(この人の本読んでるとほんとノルマ達成至上主義って感じはある)
資料上の数字はどうあれ、大事なのは契約者数は増え続け、赤字は徐々に解消されている点が事実であること。
2024年通期は楽天グループの5年ぶりの黒字。今まで他部門が黒字でもモバイル事業が赤字垂れ流し。グループ全体も赤字でしたが、ようやく上向きになった形。
ネット事業は相変わらずだし、金融部門は楽天カード、銀行、証券と強力なラインナップがいますからね。モバイルで革命を起こす、というのは陰で好調だった金融部門がなければ決して達成できなかったでしょう。
なぜ楽天は安いか。後発だからこその技術
無制限プラン料金表
キャリア | プラン名 | 月額(税込) | テザリング上限 |
---|---|---|---|
楽天モバイル | 楽天最強プラン | 3,278円 | 無制限 |
ドコモ | eximo | 7,315円 | 30GB |
au | 使い放題MAX+ 5G/4G | 7,458円 | 60GB |
ソフトバンク | メリハリ無制限+ | 7,425円 | 50GB |
この表見て思うでしょうが、そもそも楽天ってなぜキャリアなのに安いのか。
後発だから安くせざるを得ないってのが一つ。もう一つは後出しだからこそ技術的に新しいものを取り入れられたから。既存3社は過去に投資した古い技術を受け継いでいるから。
楽天 | 他3社 | |
---|---|---|
ネットワーク | 仮想化 | 従来型(専用機器) |
ベンダー | 低い(複数対応) | 高い(特定メーカー依存) |
拡張・柔軟性 | 高い(ソフトウェア定義) | 低め |
コスト | 低 | 高 |
海外展開 | 楽天シンフォニーで展開 | 国内中心 |
例えば完全仮想化ネットワーク。従来のキャリアは基地局ごとにハードウェアで制御しているわけですが、楽天はクラウド技術で制御。簡単に言えば物理機器が少なく、柔軟で安価な運用ができるわけです。(まあ通信品質が落ちたり懸念点もあるんですが)
後発だから軌道に乗せるまでが大変な反面、一度のせてしまえば既存キャリアよりも有利な面もあるわけです。
現在は衛星通信サービスにもチャレンジし、上手くいけば山間や海上、災害時などのアクセスも期待できると言われています。

さらに、楽天は若いユーザーが多く将来性があります。既存3社のユーザーは、はっきり言うと年配者が多い。分かってて使う人もいるけど、基本は昔からずっと使ってるユーザー。またはその子供たち。
高い料金は実店舗ありきというか、年配の人のトラブル解決込みでの値段ですから。楽天も実店舗あるから二兎を追えるはずですが、歳をとるほど生活の一部を変えるって大変ですからね。未だに楽天を携帯会社として認めてない人もいますし。

そしていちばんの追い風はポイント戦略。楽天カード、証券、銀行と金融系は今や楽天の独壇場。スマホも楽天にするとすべてのポイントを同じもので管理出来て楽だし使いやすい。
今や何かのサービスを使ってポイントをもらうのが当たり前の時代。細々と色んなポイントがばらけてると超めんどくさい。一元管理できるのがどれだけありがたいか、楽天使ってる人なら分かるはず。
通信速度は安定してきてる
25.05.01時点 | 平均下り速度 | 件数 |
---|---|---|
NTTドコモ | 145.97 Mbps | 3,550 |
ahamo | 133.27 Mbps | 2,790 |
au | 129.02 Mbps | 1,513 |
LINEMO | 125.61 Mbps | 698 |
ソフトバンク | 122.06 Mbps | 2,137 |
povo | 115.06 Mbps | 1,902 |
楽天モバイル(キャリア) | 106.82 Mbps | 7,905 |
irumo | 67.67 Mbps | 101 |
直近3か月のデータ。
どのキャリアも平均100Mbpsでてるので、ほとんど差は分からないと思います。繋がらないと言われてきた楽天ですが、近年は改善。解約率もかなり低い。
弱点だったプラチナバンドですが、東京世田谷区を皮切りに、 調布市、千葉県市川市...と少しずつ増えています。2026年3月ごろにはプラチナバンド基地局を10,661局まで広げる予定らしい。
三木谷キャンペーンのやり方

楽天の料金は3GBまでなら1,078円。20GBは2,178円。無制限で3,278円です。家族割り使うと月110円引き。アプリ使用で通話料無料。
さらに三木谷キャンペーンを利用すると月3GB使用なら向こう1年くらいはタダ乗りできます。

格安SIM最安の日本通信と比較するとこんな感じ。
楽天は1年使ってももらえるポイント分が多いのでむしろお釣が来ます。

3GB~20GBのケース。3GB超えると料金が高くなりますが、楽天の方がまだ優勢。とりあえずそんなに使わないならポイントで相殺できる楽天のが良いんだなと思えば分かりやすい。
キャンペーンは色々ありますが、結論三木谷キャンペーンOK。他のは条件が諸々ついてたりして使いずらいので。端末同時購入もお得ってわけじゃないので、回線申し込みだけがお得です。
条件は①乗り換え、②5回線まで。という非常に緩いもの。過去に楽天モバイル使ったことある人でも可。

該当URLに飛んでから7日以内に申し込み、プランを開始すると適用されます。三木谷社長がいるページで"お申し込みはこちら"から手続きすればポイントがもらえます。
ポイントは使用から4~6ヶ月にわたって進呈され、開始1年はほぼ無料で使うことが可能です。申し込みは下記から。
楽天モバイルが携帯料金を下げた

使う理由は単に安いから...。
だけでもいいんですが、せっかく使うなら愛着のある会社にしたいもの。
そもそも携帯の料金が安くなったのは楽天モバイルの存在があったからです。
格安SIM(MVNO)の影響(2014年〜2019年)
- IIJmio、mineo、OCNなどのMVNOが普及
- ただし、ドコモ・au・ソフトバンクの料金は下がらなかった
- MVNOは「遅い」「サポートが不安」「家族割が使えない」など問題が多かった
楽天モバイルのMNO参入(2020年〜)
- 楽天が(自社回線)参入
- 月額0円〜2,980円で無制限の料金プランを導入
- 2021年頃から、各キャリアが低価格新ブランド(ahamo、povo、LINEMO)を導入。
政府の介入(菅政権:2020年〜2021年)
- 菅首相が「日本の携帯料金は高すぎる」と問題提起。
- 総務省が大手3社に料金の値下げ圧力。政策誘導。
- 楽天の存在とタイミングが「ちょうどよい引き金」になった。
つまり「格安SIMが土台を作り、楽天モバイルが本格的に業界を揺さぶり、政府がそれを後押しした」ことが料金引き下げの真の要因です。
ゆえに僕は応援したい

今でこそ格安SIMは隆盛を誇っています。
でもね。応援したいじゃないですか。
元々超優良企業だった楽天が泥をかぶったのは”社会的意義”があったからです。以降他部門は黒字だったのにモバイルは赤字。グループ全体も赤字。
別に自分たちがモバイル事業する必要があったわけでもなく、外野からは失敗すると文句を言われ...。
自分が一代で築き上げてきた会社を危険地帯に突っ込んでまでリスクを負ったこの事業。

もうね。頑張ってほしいじゃないですか。僕はこの記事書くにあたって三木谷さんの本とかも色々読みましたけど、やっぱカリスマですよ。この人の会社なら信じてみたい。使ってみたい。そう思わせてくれる会社です。
なぜ楽天を選ぶのか。それは本当に得だから。日本の携帯料金に対し本当に頑張ってくれた企業を後押しできるからです。
早い話、旧3キャリアは楽天がいなきゃ料金を高くできたはずだし、今もしたいと思ってる。楽天に潰れてほしいとすらも思ってる。
僕は小規模ながらyoutuberやらブロガーやらやってるから微力ながら後押ししたいと思いこの記事を出しました。
みなさんも、ぜひ一度使ってみてください。
