RTX5000シリーズの比較です。各番数でどの立ち位置にあるか、AMDの対抗と比較してどうか。メーカーごとのおすすめなんかも温度や騒音の面から解説していきます。
(25/07時点情報)
RTX5000シリーズ性能比較

ざっと見て、4000番台から5000番台にわたり、全体的に1割くらいしかベンチマークは伸びてません。「あれー?」と思った人もいるし、「今時性能向上なんてこんなもんでしょ」と言う人もいるはず。
3000番台は性能、4000番台は電力効率が上がり、5000番台のテーマはAIによるフレーム生成。

軽く触れると、前回のDLSS3は4000番台だけだよ、という話でした。3.5で古いモデルも対応しましたけどね。(DLSSはAIでFPSが上がっちゃうよ、って技術)
今回のDLSS4は全モデルで使えるので、実は5000番台じゃなくてもOKだったりします。
じゃあ、買う意味は何か。それはMulti Frame Generationです。現状5000番台でしか使えません。

分かりやすく言うと、今までフレーム生成が1枚しかできなかったものが、onにすると複数枚生成できるよ、というもの。


今まで4K高Hzだと数十FPSしかでなかったゲームも、数百FPSというバカみたいな数字が出せちゃう...という代物です。

今やネイティブ性能は打ち止めの時代。フレーム生成技術でFPSを稼ぐ時代なんですね。昔こそフレーム生成は宣伝マスコットだとか、ソフト側が全然対応してないとか、遅延や画面が歪みがひどいとか実用性なかったですけど。
デメリットも同じくゲーム側が対応してるか。このへん毎回指摘されてる所。2025年4月現在では75個のタイトルが対応してるとのこと。

今やグラボは生成技術ありきで、対応可否でプレイ人口変わるまであるので、どこも今まで以上に力入れてくるでしょう。といっても、ほんとにソフト次第。
各モデルざっくりとした印象
- 5090 → バイクでも買うわ
- 5080 → いつもの不遇シリーズ(高価格低VRAM)
- 5070ti → 対抗の9070XTが強い
- 5070 → まだ買いやすい価格。売れるかは知らん
- 5060Ti → 誰かは買うでしょう
- 5060 → 伝説の情報規制モデル
RTX5000番台とRX9000番台の違いは?

ライバルAMDのRX9000シリーズとの比較ですが、DLSSがどこまで対応するかがカギです。
従来はAMDが値段と純粋な性能、電力効率。Nvidiaはレイトレ性能やAIイラスト面の強さ。
しかしRX9000番台で弱点だったレイトレ性能がかなり強化されたので、Nvidiaは少し苦しい戦いになります。優位性のあるフレーム生成技術、つまりDLSSがどこまで対応するかが結構重要だったりします。
ただしAMDのFSR4は9000番台のみが対応。FSR3.0以前はNvidiaでもAMDでも使えましたが、新技術は最新RX勢のみ。まだNvidiaの方が優勢な分野ですが、今までほど大きな差はなくなったかもしれません。
他に見るべきポイントはVRAMやメモリバス幅。数字が大きいとデータの通り道が広くなり、4Kなど高解像度に強くなります。AMDの方が同価格帯では多い傾向にあり有利。
結局はやりたいゲーム...例えばモンハンならAMD、サイバーパンクならNvidiaみたいにタイトルで有利不利がでちゃうんですけどね。
(各番数の対抗モデル比較や、FPS値の比較はAMDの新作が出そろってから追記します)
RTX5070Tiについて
RTX5070Ti vs 9070XT
RTX 5070 Ti | RX 9070 XT | |
---|---|---|
メモリ | 16GB GDDR7 | 16GB GDDR6 |
メモリバス幅 | 256bit | 256bit |
メモリ帯域幅 | 896 GB/s | 640 GB/s |
TDP | 300W | 304W(OC版 最大340W) |
推奨電源 | 750W | 750W |
価格帯 | 14万円台 | 11万円台 |
購買層が多いミドルクラスのRTX5070Ti。AMDの対抗モデルは9070XT。
発売時評価が微妙だったら5070tiですが、相手の9070XTは高評価でした。
理由は明白で、2025年4月現在で5070tiは17万円台、9070xtは13万円台。でも純粋な性能はほぼ互角。
そのうえ9070xtは前作フラッグシップの7900xtxに迫ると評判で、おまけにレイトレ性能まで改善されたとあっちゃ立つ瀬がありません。

上記は4kの16ゲームのFPS平均値。ゲームにより優劣はありますが、このデータだと総合値はほぼ互角。

1440p。大体同じ。

1080p。同じく。
問題はレイトレを入れた場合。元々RTXが勝つにはここ。もしくはAI系の処理。

7つのゲームの4K RTの平均値。9070XTは確かに7900xtxよりも向上してます。
でもRTX5070Tiには及びません。

1440p RT。ここでも5070ti > 9070XT > 7900xtx。
前回の最高モデル7900xtx以上の性能を見せてくれますが、まだNvidiaには勝てない模様。
さらにAI系ソフトは相変わらずNvidia一択。Blenderなど3Dモデリング系も同じ。
結局単にゲームやる以外のことを求めるならNividia、という図式は4000番台から変わっていません。多少AMDの盛り返しはありましたけどね。
RTX5070Tiのメーカー別比較

主要モデルの温度、騒音比較。gigabyteのgaming OCは通常モデルの中では良い数値が出ています。上位のAorusほど高くない、けど他モデルよりは高い。
ここには載ってませんが、玄人志向、zotacのような格安メーカーから買っても良いです。細かい数値を気にしないならそれほど変わりません。安く買えます。
それからPalitならドスパラで安く売ってる可能性もあります。今だとGaming Proという光らないモデルのみ。在庫もたまに消えてます。中身は上記のGameRockとほぼ一緒です。
モデル名 | 相対性能(%) | 相対消費電力(%) |
---|---|---|
Gigabyte Aorus Master | 104.4% | 110.3% |
ASUS TUF Gaming OC | 103.1% | 108.4% |
Palit GameRock OC | 103.1% | 110.2% |
Gigabyte Gaming OC | 102.4% | 110.4% |
MSI Ventus 3X OC | 100.0% | 100.0% |
各グラボの電力に対する性能。その相対値。一番低いVentusと比べると数%ほど高かったかというもの。
なんだよMSI Ventusいいとこないじゃんって見えますけど、主要メーカーの中じゃ値段が安いし、それほど電力食わないという利点があります。
さっき良い数値だったGigabyteのGamingは電力効率はイマイチ。
一応、温度や騒音ならGigabyte Gaming、電力効率ならMSI Ventus...って考えもなくもないですけど。電力消費にそこまで注力しなくて良いでしょう。普通に予算が許せばGigabyteがおすすめですね。それか格安モデル。
玄人志向は以前4080買ったとき結構良かったので、わりとおすすめ。(個人感)
RTX5070について
RTX5070 vs RX9070
RTX 5070 | RX 9070 | |
---|---|---|
メモリ容量 | 12GB GDDR7 | 16GB GDDR6 |
メモリバス | 192bit | 256bit |
メモリ帯域幅 | 672 GB/s | 644 GB/s |
TDP | 250W | 220W |
価格帯 | 9万円台 | 10万円台 |
10万円台で買えるRTX5070。この辺りも結構購買層がいます。対抗は9070無印。


さっき見た表です。
4Kの場合はRX 9070 > RTX4070Ti > RTX5070。
1080pでは RTX4070Ti > RX 9070 > RTX5070
高解像度になると9070が強いのは、メモリ数やメモリバスが多いためです。同価格ならAMDのグラボの方が強い傾向があります。
4Kなんかの大容量になるとそれだけデータの通り道が必要。つまりメモリやメモリバスに余裕があった方が良いということ。
このへん4KでやるならAMD寄り、1080pでも良いならNvidia寄りに見ることになります。
RTX5070のメーカー別比較
70無印のデータはでてないです。でも基本はRTX5070Tiと同じ。
おすすめも同様です。
RTX5060Tiについて
RTX5060Ti vs RX9060XT
RTX 5060 Ti | RX 9060 XT | |
---|---|---|
VRAM容量 | 8/16GB GDDR7 | 8/16GB GDDR6 |
メモリバス | 128ビット | 192ビット |
メモリ帯域幅 | 448 GB/s | 468.1 GB/s |
TDP | 180W | 150W |
価格 | 6万円台 (8GB) 8万円台 (16GB) | 4万円台(8GB) 6万円台(16GB) |

同じ16GBモデルで比べるとほぼ互角です。
が、8GB版は少し溝を開けられています。やはり8GBだと高解像度には物足りないのでしょう。

1080pだとほぼ互角。
5060Tiはもうちょい価格が下がっていく気もしますが、9060XTのコスパは驚異的。
最新ゲーム以外をWQHD。もしくは常にFHDで遊ぶなら十分なグラボです。
5060Tiのメーカー別比較

全体的にバランスが良いのがASUS。ただASUSは高い。
下位モデルを買う人は値段が一番重要になるので、結局ここでも玄人志向やzotacなどが良い選択肢になります。
モデル名 | 相対性能 (%) | 相対消費電力 (%) |
---|---|---|
ASUS TUF Gaming OC | 104.5 | 99.5 |
Gigabyte Gaming OC | 103.9 | 100.8 |
MSI Gaming Trio OC | 103.5 | 101.5 |
Gigabyte Eagle OC ICE | 100.7 | 99.6 |
Palit Infinity 3 (基準) | 100.0 | 100.0 |
RTX5060
まず超重要な話ですが、公式がRTX5060は限定条件以外で事前レビュー禁止をしました。
注目なのが4060とは比較禁止してたってこと。

てことで5060は前作とほぼ変わってません。もちろんAI機能など5000番台の恩恵はあるんですが、今はドライバの影響か下手したら4060よりも数値は悪いです。
なのでベンチマークなどの情報もあまり参考になりません。ドライバがマシになったとして結局4060とそこまで変わりません。
一応、前作比較20%FPS増加って触れ込みなんですが、カラクリがあって技術的な進化じゃありません。
RTX 5060 | RTX4060 | |
---|---|---|
メモリ容量 | 8GB GDDR7 | 8GB GDDR6 |
メモリバス幅 | 128 bit | 128 bit |
メモリ帯域幅 | 448 GB/s | 448 GB/s |
TDP | 145 W | 115W |
価格帯 | 5万円台 | 4万円台 |
TDPのところを見てほしいんですが、5060は145Wと増えています。
つまるところ中身は変わってないけど無理やり温度と性能を上げたのが5060。
もちろんマルチフレーム機能は5000番台だから使えるんですけどね。


一部のデータでは複数ゲームの平均FPS値はちゃんと上がっているようです。
RTX5080について
項目 | RTX 5080 |
---|---|
メモリ容量 | 16GB GDDR7 |
メモリ速度 | 最大32Gbps |
メモリバス幅 | 256ビット |
メモリ帯域幅 | 最大1TB/s |
TDP | 360W |
価格帯 | 18万円台 |



RTX5080 vs ???
対抗のAMD商品は未発表です。
RTX5080のメーカー比較

一番良いのはMSIのSuprimですけど、最上位モデルなので高額。
値段考えたらGigabyte Gamingが一番バランスがとれてます。
毎度のことですが、格安モデルなら2万くらいの差額。2万はでかいので結構悩みどころですけど、好きな方買いましょう。僕だったら格安モデル買っちゃうかもしれません。その差額で良いCPUクーラー買おうかな的な。
RTX5090
RTX5090 | |
---|---|
ベースクロック | 2.30 GHz |
ブーストクロック | 2.62 GHz |
メモリ | 32GB GDDR |
メモリバス幅 | 512bit |
メモリ帯域幅 | 1,024 GB/s |
TGP | 575W |
推奨電源 | 850W |
価格帯 | 40万円台 |
毎度最上位はやばい価格帯ですが、今回はホントにわけわからん価格です。これ買うならバイクでも買います。

メーカー別比較を載せておきます。
前回の4090がそうだったように、多分今回も比較対象になるグラボはAMDにもないと思います。
米中間の半導体規制の影響

アメリカが中国の半導体産業の発展を防ぐため、半導体輸出規制を図っています。
主な対象はデータセンターで使われるNvidia H100やハイエンドの90台。
多くの人が持つ疑問。「で、日本市場になんか影響あるの?」。
はい、あるかもしれません。
元々中国の軍事利用やAI市場抑制のために規制が行われました。
中国への直接ルートはもちろん、今では東南アジアを経由した迂回ルートも規制対象です。影響がないのは日本などtier1に位置する同盟国。(中国はTier3)

すると二つの事が予測されます。一つは中国が独自で開発すること。長期的に見てNvidiaや米国の脅威となるはずです。
もう一つがグレーな輸入が増える事。
なんとなく想像つくと思いますが、「じゃ今日本で仕入れて中国に売れば大儲けできるじゃん!」となるわけですが、実際に日本の買い占め&中国への転売が起こっています。もっといえば世界で半導体の取り合いが起きている最中。
まだ日本に規制は入っていませんし、直接規制が入るとも思いませんけど、今後どうなるか不透明。トランプの発言一つでどうにでもなります。
我々からするとグラボはゲームするための物ですけど、今や半導体は戦争の道具なんですね。
グラボの安定供給は今後日本だって分からないという話。今までも散々グラボの高騰やら品薄やらネタになってきましたが、5000番台だって同じ事です。それどころか年々悪くなる一方。
結局何が言いたいかと言うと、グラボは欲しい時に欲しい値段で買えってこと。「今は時期が悪い」系の動画とかよくありますけど、そんなもの気にする必要ありません。
この記事書いてる25/07時点ではむしろマシな状況です。でも未来は分かりません。欲しい時に買いましょう。マジで。
(出典: Hardware Unboxed、Tom's Hardware、Techtesters)