ふるさと納税はおかしいとか、ずるいと否定派の人や自治体がいます。その通り。中々狂った制度です。
しかし僕たちはふるさと納税せざるを得ない良く分からん状況に置かれていることも確かです。
ふるさと納税はおかしいしずるいと否定派の人だけが一人負け

そもそもこのふるさと納税で誰が得して誰が損する仕組みか知っていますか?
得する人々
- ふるさと納税者 (特に富裕層)
- ふるさと納税サイト
- 返礼品関連の業者
損する人々
- ふるさと納税の非利用者
- 低所得者
- 減収した自治体の住民 (特に都心部)
察しの良い人だったら、いかにとち狂った制度か良く分かると思います。
ふるさと納税分は所得税や住民税から控除(金額を差し引く)されます。
その地域の住民たちの税を他地域に移動することになるのです。富裕層ほど都市部に集中し、かつ所得税や住民税が多いのでたくさん寄付できます。つまりたくさん移動できてしまいます。
彼らが返礼品の魅力がない都市部から地方に税収を流すとどうなるか。居住地区で受けられるはずだった行政サービスを受けられなくなります。
つまりふるさと納税者は、未来の行政サービスを肉や米に代えてむさぼっている状況なわけです。
ね?なかなかとち狂った制度でしょ?
ふるさと納税における自治体の企業努力が足りない説は半分合ってる

よく言われるのが、自治体の企業努力が足りない説です。これは半分その通りです。
ビジネス戦略に長けている自治体が国から優遇されるのは当たり前です。例え田舎でも人や金を呼び込もうとする地域に力が集まるのは平等と言えるでしょう。
実際僕も、ふるさと納税をきっかけにして、全く知らない地方の特産品やら市町村の名前やらを知ることができました。
ふるさと納税が消えれば、各地域のアピールの場が一つ消えることにもなります。
ただし各自治体のスタート位置が違うことも考慮すべきです。特産品有りの地域は強くてニューゲーム。例えば三重県松坂市。松坂牛という強力なブランドを持っています。
ふるさと納税課で働いてる人達は、結局は役所仕事。大して給料上がらないのに頑張れとも思えません。本当に地域に愛着がある人じゃないと無理だと思います。
都市部は元から不利

ふるさと納税って元々都市部はあらゆる面で冷遇されています。
- 持っていかれる税収が多い
- 特産品がない
- 減収からの補填が受けられない場合が多い
まず、持っていかれる税収が多いです。富裕層ほど都心に住みますし、税収も多い。税金で人口に見合った設備も作る必要があります。
第2に、特産品系に弱いです。東京の特産品なんて東京出身の僕も思いつきません。
最後に国からの補填。減収した地域は国から補填を受けるのですが、東京都特別区(23区)をはじめ、税収の多いところは受けることができません。(いわゆる地方交付税金の普通交付税不交付団体)
中には公式がふるさと納税の在り方に異議を唱えているところもあります。僕の知る限り、結構色んな自治体が出しています。
川崎市、浦安市、さらに中野区や荒川区等が挙げられます。特に荒川と中野は厳しい内容を表明しています。


荒川区では令和4年に約10億円、中野区では約21億円の減収だったとの話です。
前述の通り、この二つは”区”なので、補填は受けられません。
じゃあ返礼品はどんなものを出しているか。
あるのは対象施設クーポン系か、お菓子、ラーメンなどです。


これと高還元肉どっちに寄付しますか?
明らかに肉ですよね。利用者は工芸品とか現地クーポンはゴミみたいに思ってます。欲しいのは高還元な肉・海鮮・紙類など日用品。
このあたり納税者とズレている感もあります。
個人的な意見ですが、ふるさと納税制度がおかしいのは大前提として、税収持ってかれて特産品系に弱い都市部が不利なのは事実。
しかし自治体側が魅力的な返礼品を用意してないのもまた事実です。原因は内的要因も外的要因も含んでいるように見えます。
勝てる自治体は勝つべくして勝った
自治体にも勝ち組とか負け組とかいう言葉がメディアでも取りざたされるようになりました。
全部ふるさと納税のせい(おかげ?)です。

まず、2021年のデータで最も流出が多かったのは横浜市です。なんと約230億円。
返礼品はというと…

案の定、来たら使える系クーポン。(てか金額がやべえ)
他にも川崎市が、荒川区や中野区と同じように公式サイトで訴えています。ここはかつて税収流出の車内広告出して逆切れ説が流れた自治体です。
広告のせいで批判されたからか、前向きになったからか不明ですが、現在川崎は返礼品にバラエティを出そうと、色々な物を取り入れている段階のようです。
少なくとも現状打破に向けて模索している感が伺えます。こういう自治体もあるわけですね。(まあ決定的な商品がない状態ではありますが)


一方、最も寄付を集めたのは北海道勢。
特に北海道紋別市(もんべつし)はオホーツク海に面した場所で、なんと1位。

返礼品を見ると…

ま、分かってたことですけど、海鮮まみれ。ホタテ・いくら・ズワイガニという強すぎるラインナップ。大富豪で言うと、2を四枚とジョーカー持ってるみたいな手札です。
なんかこうやってみると、都市部どうやっても勝てないじゃん!という気持ちにもなります。
税収が減った場所は企業努力が足りない側面もあるんでしょうが、やったところで勝てる気はしません。
それでも納税者はふるさと納税に突っ走るしかない

じゃあ怒りを覚えてふるさと納税やらないのか?それは愚策中の愚策です。一人負け状態。
別に自治体の税収が悪くなるからと言って、自分一人がふるさと納税をやめたところで何も変わりません。
ただでさえ増税&増税の昨今、国がくれる数少ないおこぼれというのがふるさと納税制度。
もらえるものはもらっとくべきです。
つまり、狂ってると思っても我々はふるさと納税に突っ走るしかないのです。
応援したい自治体とか言われても、肉やいくら、ズワイガニには勝てません。
なので、まだふるさと納税してない人はとっとと始めましょう。
納税のやり方や得するポイントの積み方、税金の申告まで超絶詳しく下記記事に書いてあります。